佐賀県フィルムコミッション ‐Staff Blog

今日は光代のアパートのお話。




深津さん演じる光代は、アパートと職場の紳士服量販店を自転車で行き来するだけの毎日を送る女でした。

原作でも「チャリで通勤する」という設定だったため、当然、紳士服店の近くからアパート探しを始めたわけです。

原作を読めば光代のアパートがだいたい想像できます。

・田んぼに囲まれるなど「ザ・佐賀」的な立地
・ちょっと古い2階建て
・部屋の窓からアパートへ向かう直線の道が見える
・その直線の道の両脇は当然、田んぼ（家や小屋がない）
・アパート前に砂利の駐車場がある
・その砂利の駐車場へ下りる外階段がある
・鍵＋旧式のチェーン
・居間と珠代の部屋が繋がっている

などなど。

原作を読みながらこんな想像力を働かせ、アパートを検証していき、それが成立する物件を探しだすのがフィルムコミッションの仕事。

しかしまぁ、この条件を原作から洗い出し、全てクリアしたアパートを見つけるのがどれだけ大変なことか。

ようやく見つけたアパートを李監督に見てもらうわけですが、そこは妥協を許さない男、李相日。

あっさりと、

「他にないの？」



この一言で全てブッ飛び、もう一度ゼロからのスタート。
これが数回続き、佐賀市内から探す範囲をドーナツ状に広げた結果、白石でようやくゲット！



もうね、ダメかと思いましたよそりゃ。

しかし気合い入れて探した甲斐もありました。
役作りのために撮影の半月ほど前に深津さんが佐賀にフラリと来られ、ロケ予定地をずっと案内して回ったときのこと。
自分が演じる光代が住んでるアパートということで、光代がいつも見ているであろう窓から見える景色を見ながら「空気がおいしい」「この景色はすごい！」「田んぼと山が美しい！」と連発。

深津さんも一目で白石の田んぼ風景を気に入り、光代のイメージを固められたそうです。

こんな作業がモントリオールはじめ、各映画賞を受賞する演技につながったかと思うとフィルムコミッション冥利に尽きるってもんだ！


よし。
せっかくなので、この光代のアパートの内部を次回で紹介しちゃおうか！